探してる





万年ドベで明るいだけの子供。それが「うずまきナルト」。
だってばよ〜と珍妙な口癖は、いつの間にか同じように口にしてしまいそうな語呂で、ちょっと微笑ましい気持ちになるのだが。

「だって、イルカせんせー!!!!」
俺ってば悪くないってばよ!!!!!!
今日も今日とて悪戯をして怒られたらしいナルトの。口癖を微笑ましく思うどころか嫌悪を隠そうともしない教師たちの視線。それに感化されるような子供たちの、視線は何時までたっても温かみを感じることは出来ない。
だだだと騒々しく廊下を駆け抜けていったナルトに、イルカはやれやれと肩をすくめて戻ってきたのならばもう一度注意と、一楽のラーメンでも奢ってやろうなんて考えていれば。
「また、うずまきですか・・・」
他の教室よりその担当教師がいつの間にいたのか、話しかけてきた。
「全く。いい加減アカデミー退学にならんものですかね。これじゃあ他の子供たちにも悪い影響が出てしまうじゃないですか」
今度、火影様に進言してみません?
隠しもしない嫌悪に、イルカは。
『何を言ってるんですか!アイツは・・・確かに悪戯はしますが、ちゃんと授業には参加してます!頑張ってだっているのに退学になんか出来ますか!!!』
言えれば良いのに。実際に言った言葉といえば。
「いや、退学にまでするような・・・まだ、年齢だって規定を越えてませんし・・・」
「・・・・ふん。忌々しいね。アイツにそんな規定を起用しなくたって良いと思いますけど」
「それより、ほら、授業途中じゃないですか!生徒たちが待ってますよ!!」
まだぶちぶちと言いそうな気配を感じて慌てて促せば、自身もそうであったことに慌てふためく。
「授業、授業!!!」
キーンコーンカーンコーン
今日もまた、イルカはまともに授業を出来なかったのである。



悪くないってばよー・・・・
虚しいエコーは校舎を駆け巡り。
されど、叫んだはずの声ほどの勢いを本人からは感じられない。
誰も周りにいなくなったのを感じたナルトは駆け抜けることを止め、とぼとぼと虚ろに屋上を目指した。
騒がなくなった、どべの「うずまきナルト」は。
何故だろう。
その類稀なる色彩と存在感を持ってして、本人の意思など関係なしに嫌でも人目を引くというのに。
ふっと目を離したならば、一瞬で掻き消えそうな。
そんな儚さを持っていることに、未だ気付けるものはなかった――――


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