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かさり、と音がして振り返ってみれば、ニブルウルフを数匹担いだクラウドの姿があって。
ティファは一瞬目を見張ったものの、安堵に頬を緩ませた。
「もう、どこまでいってたの?」
日が暮れちゃったよ
可愛らしく小首を傾げながらクラウドに言えば、彼は少しだけ困ったように眉を寄せるのだ。幼馴染みの癖を、判っていてワザと見せるのは心配させた腹いせ。優しい彼の、少し困った表情がティファには特別なのだ。少しの意地悪を、受け止めてくれているのが判る、その表情が彼女は好きだった。
「・・・それにしてもニブルウルフ、沢山持ってきたのね?」
けれど、困った顔を見るのも好きだけれど、笑った顔のほうがもっと好きだから。
「野宿だけど、晩御飯は腕を揮っちゃう!」
腕をたくし上げ、ウインクして見せればたちまち彼の寄せられた眉根の代わりに、柔らかい笑みが彩った。


「お、豪勢だな今夜は」
シドが目を見張って並べられた料理を見やる。
「でしょう?クラウドが獲ってきたの」
「何だ、奴さんは晩飯獲りに行ってたのか」
その言葉にくすりと笑いが零れる。
少し姿をくらませていたクラウドを、けれど表立って心配する事などしなかった仲間達だったが、それぞれ思うように振舞いながらも気配を探っていた事をティファは知っていた。
「どうかしら?」
ふふっと笑って答える彼女にシドは軽く片目を瞑って「ま、ご馳走には代わりねえな」と返した。
「もう少しで出来るから、もうちょっとだけ待ってて」
「あいよ」
ついでにあいつらにも教えてやらあ。
後ろ向きに片手を軽く上げてシドは夕飯の支度をするティファのところからちりじりに居る面子のところへ向かった。

「あとは、もう少し煮立たせて・・・」
味を調えたらばっちりね。
それまでの間に調理器具の片付けをしようと手を動かしている彼女に、今度はクラウドが寄ってきた。
「何か手伝う事はあるか?」
「ん。もう出来上がるのを待つばかりよ」
「・・・そうか」
少しだけ残念そうに言う彼を珍しく思い、けれどと思う。
「クラウド、何か話でもあるの?」
素直な疑問をぶつけてみれば。
「あ・・・ああ。ちょっとティファに聞きたい事があって・・・・」
少しだけ、視線を逸らして言う彼に、ティファは首を傾げたものの、応えた。
「今にする?それとも食べ終わってからの方がいいかな?」
「あ・・・ティファの好きな方で良い」
相変わらず、こういうところが気弱というか、・・・・変わらないというか。
変なところで懐かしく思った彼女はあっさりと、じゃ、食後にね。と返すのであった。







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