A rainy day

「・・・今日も雨だってばよ」
雨と湿気に悩まされる梅雨の時期は嫌いだ。毎日毎日しとしとじめじめ。身体にキノコでも生えてきそうな勢いの、さすがのナルトでさえ気分を憂鬱にさせる。

だって、雨の日は。

傘を持って水溜りを飛び越えても、紫陽花の花が雫に映えても、カエルがゲコゲコ鳴いてたって。
皆みんな早々に家の中に篭ってしまうから。

ナルトがどんなに笑っても、悪戯しても、傘に顔を隠して急ぎ足で去っていくから。


傘に落ちる雨水が奏でる音を楽しめるのは最初だけ。
綺麗な紫陽花、葉っぱにでんでんむし。道端の水溜りに、ぴょこぴょこ跳ねるアマガエル。
皆みんな誰かと一緒なのに、雨の中ナルトだけ一人ぼっちで。

「つまんないってば」

だからナルトも家の窓から外を眺める。

――せめて毛布に包まっていれば、一人でも温かいから。

もう一回呟く。

「雨の日はつまんないば、よ」
梅雨なんて嫌いだってば・・・・。


もそり、と毛布に顔を埋めたナルトの耳にコンコン、とノックの音が聞こえるのはもうすぐ。

2007.07.05

ノマナルの短い話でした・・・。