日常



ぽかぽかと陽気が眠気を誘う。
ここにいる奈良シカマルという少年にその誘惑は贖いがたく、易とも簡単に陥落させたのが――少なくともシカマルの記憶では半刻前になる。
こんな穏やかで良い天気の中授業を受けるのもかったるい。昼食時に上がってきた屋上で、天気に誘われ満腹感と共に横になった。もちろん授業なぞサボタージュ決定。
一緒に居たチョウジは真面目に授業に出たようで、シカマルは悠々と誰にも邪魔されない昼下がりを満喫していたはずだった。
「ぐぉ・・・?!」
腹の辺りに何か衝撃を受け、呻き声を上げながら目を覚ました。
半身を起き上げようとしたが叶わず視線を腹の辺りに映せば金色がでん、と己の腹の上に乗っているのがわかった。
見覚えのある色彩は、この里で唯一つ。ただ一人が持つ色だから判る。
「何だ?・・・ナルト?!」
しかし何が乗っかっているのか判っても、何故乗っているかの理由が思い当たらない。
ナルトとは友人といえる仲ではあるが・・・・。
「おい、何人の腹枕にしてやがる!」
シカマルは即座にナルトに抗議した。男を腹に乗せたまま眠る趣味はない。有らぬ誤解も受けたくはない。
「おい、ナルト!・・・・ナルト?」
寝てるのか?
「・・・・・」
揺すっても声を張り上げても何の答えもないナルトに、段々最初の勢いも声のトーンも落ちてゆく。
「退けろって。おい、ナルト・・・・」
次第に面倒になってきたというか、どうでも良くなってきたと言うか。最後にはまあ、いいかと。
もう一度首だけ起こして見遣れば、自分の腹を枕に大の字で眠るナルト。
見上げた空は眩しくて。
眩しさに細めた瞼をそのまま落としてみれば、そっと眠気がシカマルを深遠へと誘い込んだ。



昼下がりのアカデミー。
晴れた日のその屋上は昼寝に最適の優しい風が吹いていた。

2007.