震える小さな身体。
けぶる黄金の睫毛に、そっと絡めた指先。
感じる掌の温度が。
冷静なる理性を振り切って、押さえ切れない感情が暴走した。
はあ。
何度目になるか分からないため息にシカマルは其れでも飽きることなく繰り返す。
はあ。
燦々と照らす太陽に何所までも広がる空を見ながら思うのはたった一人のこと。
―ナルトのやつ、どうしてっかな
ぼんやりといつものようにやる気なさそうにしているシカマルだが、現在は任務中で。丁度良い具合に茂った木陰で空を見ていれば幼馴染みの一喝が飛んで来ると判っていてもやる気など一向に出るはずもなく。むしろ今は別のことに気を取られそれどころではない。
思考をたった一人のことに占められて、無駄に回転する頭の中はそんな自分に呆れつつ。どうしてるかなど、聞かずとも自分と同じように任務中だとわかっているのにも関わらず考えてしまうのは、昨日自分が仕出かした事が原因だ。
『シカマル?』
偶然、としか言いようがない。何故、なんて。
不思議そうに小首を傾げて覗いてきた青。
シカマルの好きな青空をそのまま切り取って嵌めたような澄んだその色を目の前に、手が、自然に動いたのだ。
『シ、シシシシカマル???』
驚いたようにただでさえ大きな目が見開かれ、慌てたように名を呼ばれるも、意識せぬまま動いていた掌がナルトの・・・細い手首を捉えていて。
ふと、青色に影が掛ったと思ったときにはお互いの吐息が掛る距離で。
『シカっ・・・・!!!』
開いた口から覗いた赤い舌に、誘われるように口付けた―――
「〜〜〜〜〜!!!!」
思い返してみれば何と強引だったのか。
シカマルは頭を抱えて思わず呻く。
するとそこにタイミングよく声が掛った。
「シカマル〜?あんたさっきから何百面相してるのよー?」
「珍しいね、そんなに取り乱してるなんて」
イノとチョウジが頭を抱えるシカマルに口々に現在の己について語ってくれた。
ああ、任務中だったけな、何て優秀すぎる頭は今更な事をさも忘れてましたとばかりに考えるも常に客観的に状況を判断する部分が感情に取り乱す自分を嘲笑する。
「てかあんたばっかサボってるなんて許せないわー!!!」
胸元を捕まれがくがくと揺さぶられながらギブギブ!!と泡を噴きそうになりながらもシカマルは思う。
「ぽりぽりぽり・・・」
そんな二人を見守るチョウジは相も変わらずお菓子を食べている。
・・・・イノに問い質されなくて良かった、と―――
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