何でかなあ?
どうしてかなあ?
ずうっと疑問に思ってるけれど、答えが見つからない。
「う〜ん、う〜ん?」
いっぱいいっぱい考える。
大切なシュギョーも、大事な任務も、大好きなサクラちゃんも今日はそっちのけ。
うずまきナルト12歳は本日それはそれはず〜っと。
考え事をしていた。
「・・と!ちょっとナルト!!!!」
「ほわっ?!!!」
耳元で大声を出され、キーンと耳鳴りがしている耳を両手で押さえて声の主を見遣れば、怒った風のサクラが居た。
思い出せば、そういえば、まだ任務中のはずで。
「な、なんだってば?サクラちゃん???」
「なんだってば?じゃないわよ!アンタ、今日一日ぼんやりして!全く、どうしたって言うのよ?」
慌てた訊ねたナルトに、サクラは怒りながら、それでも最後の方は心配そうに顔を覗かれて、ナルトは耳鳴りがしている事を忘れたように顔を輝かせる。
「え?サクラちゃん???心配してくれたってば?」
「ばっ!そんなわけないでしょ!!!!!」
ばっかじゃないの!?サスケ君に誤解されたらどうしてくれるのよ!
顔を真っ赤にしてサクラはどかどかと足音を立てながら向こうへ行ってしまった。
「おいドベ」
そこへ、入れ替わりとばかりにサスケが現れいつものように声を掛けてきた。
「ドベじゃないってばよ!!バカサスケ!!!!」
「テメー、ぼんやりしてんじゃねーよ。ウスラトンカチが」
「ほえっ??」
言われた言葉を反芻しながらナルトは首を傾げる。
いまのって、いまのって。
「もしかしてサスケってば心配してくれたってば???」
「んなわけあるか!ドベがぼんやりしている所為で任務が長引くのが嫌なだけだ!」
「ムッキー!この!未来の火影に向かってぼんやりしてるってケンカ売ってるってば?!」
買ってやるってばよ〜!!!!!
ファイティングポーズを取るナルトに、サスケは小馬鹿にしたようにふん、と鼻を鳴らしてきゃんきゃんと騒ぐナルトに背を向けてサクラとは別方向に行ってしまった。
「・・・・?なんだってば???」
「な〜るとvv」
「んぎゃ!!!」
やっぱり小首を傾げてサスケが去った方向を見ていれば、背後から抱きつかれて悲鳴を上げた。そんなナルトをカカシが楽しそうに見遣っている。
「び、ビックリしたってばカカシせんせー!!!いきなり背後から抱きつくなてばよ〜!!!!」
「気配が読めないのがわる〜いの。で?」
じたばたともがくナルトの体をさり気なく雁字搦めにして、動けないようにしながらカカシが本題とばかりに訊ねた。
「な〜にを悩んでいるのカナ?」
「えっ????」
言った途端に、それまでもがいていたナルトの動きがぴたりと止まった。
「何でだってば???」
何で判ってしまったのだろうと、本気で不思議がる共に、カカシは目を細め、穏やかに微笑む。
「さあ、何でデショ?」
いつもは騒がしいばかりのこの金色の子供が、珍しくも大人しい事に皆が気に掛けていることに本人は気が付かない。もっとも、気にしている本人たちもずっと金色の子供を何だかんだと気にしているのを気付いていないようだが。
あまりにもそれが微笑ましく思えて、カカシはひっそりと口端を上げる。
ナルトに見つかったのならば何笑ってるんだってば〜!と盛大に騒がれたことだろう、けれど、丁度口元は隠してあるので、いいや、どの道ナルトは気が付かないだろう。特に、何か悩んでいる風である今日は。
「う〜・・・・。わかんないってば。」
「なにが?」
「せんせーが何で俺が悩んでるのか判った事も!なんでこんな気持ちになるのかも!!!」
わかんないってば〜!!!!!
ってば〜・・
ってば〜・・・
ってば〜・・・・・
ナルトの叫びがエコーになり。エコーがこの辺りを全体に響き渡ったのだった。
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