この恋は業が深い―――
クラウド・ストライフが恋をした。
相手はザックス・アマンテ。
間違う事無く男で、クラス1st。英雄の片腕とも言われる男で、何より、クラウドの自慢の「親友」、だった。
はあ、と決して浅くはない溜息を付く。
自覚して間もないこの気持ちは、15歳という若さに重みを与えるものだった。否。同性愛に悩むような可愛らしい性格をしていない彼が、重々しく溜息を付くのは。
「ん?どうした?」
寮の、2人共同の部屋に置いて、クソ狭い居間に無理矢理置いてあるザックスの持ち込んだTVとオーディオ一式が所狭しと主張する一角の前、やっぱり無理矢理入っている感がするラブソファの上でクッションを抱きしめるように溜息を付いているクラウドを流石ソルジャー、耳聡く聞きつけたらしく聞いてきた。
優しい、この男の。
髪をくしゃり、と撫ぜる手が。
「何か解らないけど、・・・元気出せ?」
にっかりと、太陽のように笑う、その笑顔が。
どうしてこんなに―――
泣きたくなんかないのに、時折酷く泣きたくなる。
触れたその手の優しさが、クラウドに齎すものは。
―――クラウドが欲して止まなかったモノ――――
穢れたこの身に、どうして。と思う。
綺麗な綺麗なザックス。
同じ男として憧れずにはいられない。その逞しい腕も、厚い胸板も。英雄の片腕とも呼ばれる戦闘能力も、爽やかな太陽な笑みも何もかも―――
そんな彼が与える温もりに、もっと、と、どうしようもなく焦がれてしまったからだ。
軽い接触だけで満足出来てた「親友」というポジションを、どうして投げ出せようか。
欲しいのは温もり。
けれど、満たされたいのはそんなんじゃなくて。
だからクラウドは、わしゃわしゃと撫で続けるザックスに、しかめっ面で答えることしか出来なかった・・・・・。